ものづくり

デフォルトではなく、自らのDNAを守る

デフォルトの生成ツールで作られたメニュー、料理写真、投稿、イラストが、互いに似てきています。それがブランドから個性を奪う理由と、それを守る方法。

  • エッセイ
  • 2026年9月2日
  • 4分で読めます

どの街の中心部を歩いても、どのフィードをスクロールしても、新しい種類の画一性が目に入ります。ありえないほどの照りと暖かいオレンジ色の光をまとったハンバーガー。どの料理も同じ光に照らされた、格子状に並ぶメニュー。紫のグラデーションの上に、丸みを帯びた顔のない人物が描かれた投稿。この特定の1枚を見たことはなくても、どこかで見たことがあるはずです。

それらは、誰も何も指示しないときにデフォルトの生成ツールが作るものです。1枚ずつ見れば悪くありません。並べてみると、誰のものでもないように見えます。

何も出てこないメニュー

9月、NBC Newsは、AIで生成された料理の画像がソーシャルフィードから実際のメニューや店頭へと広がっている状況を報じました。小さな浮き輪のように見えるエビ、ホラー映画から出てきたような具の入った朝食ブリトー、そして存在しない料理を宣伝するカフェのメニュー。理由は容易に理解できます。画像ツールは安価か無料で、写真家はそうではありません。そうした店の多くは小規模で、限られた予算で営業しています。

反応は厳しいものでした。人々はネット上でその画像を嘲笑し、ワイオミング州のChugwater Soda Fountainは、AIのチラシや写真は使わないと約束する掲示を投稿しました。その投稿には119'000件の「いいね」が集まりました。AIを使わないという約束が売り文句として機能し始めたとき、デフォルトで十分だと考えているすべてのブランドは、そのことに目を向けるべきです。

デフォルトのAIの見た目で描かれたスパゲッティの皿。照りのあるソース、立ちのぼる湯気、散らばったトマトとバジル、暗い木のテーブルの上の暖かなボケの光。デフォルト
同じ料理を、固定したハウススタイルで。柔らかな日差しのなか、淡い色の石の上に置かれた無地の陶器の皿、その横にリネンのナプキンとフォーク。固定したスタイル
同じ料理を2度。左は、誰も何も指示しないときに生成ツールが作るもの。右は、リファレンスから作られ、人が承認したスタイル。どちらもAIで作成しています。

デフォルトが似通う理由

これは運が悪いわけではありません。モデルの仕組みがそうなっているのです。あらゆるものから学習したモデルは、方向づけがなければ、見てきたものの最もありがちなバージョンを生み出します。Anthropicの応用AIチームは昨年11月、自社のモデルが放っておくと同じようなWebサイトを設計してしまう理由を説明し、この効果を率直に述べました。どこでも通用し誰の気分も害さない無難な選択が学習元の大部分を占めているため、出力はそこに収束するというのです。チームによれば、ユーザーはその結果を「AIスロップの美学」と呼んでおり、典型的な例として、Interのようなありふれたフォントや、白地に紫のグラデーションを挙げています。

画像も同じように振る舞います。昨年12月に学術誌Patternsで発表された研究で、研究者たちは画像モデルとキャプション生成モデルを互いに入力し合うループで動かし、100ラウンドずつ700回実行しました。どの実行も、嵐の中の灯台や宮殿のような室内など、少数のありふれたモチーフへと流れていき、著者たちはそれを「視覚のエレベーター音楽」と呼びました。著者たちは、欠けている要素は人との関わりによる修正の圧力ではないかと考えています。

言葉も流れていきます。Cornellの研究者たちは、インドと米国の人々に自らの文化について書いてもらい、その半数にはAIの文章作成アシスタントを使わせました。アシスタントを使うと、2つのグループの文章はより似通い、それは主にインドの書き方が失われる形で起きました。好きな食べ物や祝日についての提案は、ピザやクリスマスに偏りました。

ブランドが失うもの

ブランドは、他と違うことを繰り返すことで認識されます。色、トリミング、光の種類、ものの言い方。それがブランドのDNAです。デフォルトの生成ツールにもDNAがあり、それを使うすべての人と共有しています。企業がデフォルトのものを公開するたびに、自らの名前を他者のルックに貸していることになります。

その喪失はゆっくり進むため、危険です。ありきたりな投稿が1つあっても何も変わりません。それが1年続けば、受け手は、この会社は誰であってもおかしくないと学びます。複数の言語で仕事をする企業にとって、その流れは二重になります。画像はどこにでもあるようなものに見え始め、言葉は、社内の誰も話さない英語から翻訳されたように響き始めます。

巧みなプロンプトだけでは解決しません。今年Ipsosと共同でまとめられたレポートで紹介された、Syracuse Universityでの授業内の実験では、学生たちがプロンプトと参照写真を使って自分自身についての広告を作りましたが、著者たちが言うところのAIの傾向、つまり「創造性を予測可能で均一なものへと平らにしてしまう」傾向から逃れることはできませんでした。

デフォルトのAIイラストの見た目で描かれたオフィス。アイソメトリック、光沢、ライラックとブルー、浮かぶアイコンときらめき。デフォルト
同じ題材を、温かみのある紙の上の細い黒の線画で。窓辺の机が1つ、ランプ、ノートパソコン、植物。固定したスタイル
1つのブリーフ、2つの結果。デフォルトはほかの千の投稿と同じに見え、線画のスタイルは1つの会社に見えます。どちらもAIで作成しています。

守る方法

制作を機械が担うとき、ブランドのDNAを損なわずに保つものは4つあります。

リファレンス。自社の商品、空間、人、光を写した本物の写真です。会社の最も良い部分を示しているという理由で選びます。リファレンスは、言葉では説明できないものをモデルに示します。

固定したスタイル。リファレンスは出発点であり、レシピは決定です。光、レンズ、セット、パレット、粒子感、トリミングを書き留め、誰かが承認するまでテストします。Reelはすべてのスタイルをこの方法で、実際のリファレンスから作ります。だから100枚目の画像も、1枚目と同じに見えます。

ブランドパック。色、書体、語り口、使う言葉と決して使わない言葉、そして商品が常にどう見えなければならないか。Twinでは、そうしたルールと語り口が会社のAIの頭脳の一部になっているため、アシスタントは推測するのではなく、その枠の中で働きます。

選ぶ人。機械が選択肢を作り、人が選びます。Reelでは、使われるすべての画像とクリップを人が選び、その選択の一つひとつが次の生成に生かされます。私たちが決して手放さないのは、この部分です。スピード、バリエーション、フォーマットはAIから得られます。センス、判断、そしてブランドがどう見えるかへの責任は、そのブランドを持つ人々に残ります。

デフォルトのAIの見た目で描かれたコーヒー。黒地に、はじけるしぶき、飛び散る豆、炎と煙。デフォルト
同じ商品を、固定したスタイルで。窓辺のオーク材のカウンターに置かれたセージ色の陶器のマグとクラフト紙の袋、静かな朝の光。固定したスタイル
ある焙煎所のコーヒーを、一度はデフォルトで、一度はその店ならではの光、セット、パレット、トリミングで。どちらもAIで作成しています。

企業にできること

直近に公開した20点を見て、ロゴを隠してみてください。それが自社のものだと見分けられないなら、顧客にも見分けられません。

そのうえで、すでに手元にあるものから始めましょう。最高の写真、最高の文章、そして人の頭の中にあるルール。それらを一度書き留め、重要なスタイルを固定し、選択の責任者を1人決めます。画像を生成するときは、元の写真をワンクリックで参照できるようにしておきます。

デフォルトは今後も良くなり続け、そしてデフォルトのように見え続けるでしょう。ブランド自身のDNAこそ、ほかの誰にも生成できない部分です。